漢方による更年期障害治療法

更年期障害の症状に処方される漢方薬は、体質や症状によっていろいろあります。
のぼせや冷え症など血液の流れの異常による症状、イライラ、不眠、神経質など精神的原因による症状、高血圧に伴う頭痛、動悸、めまいの症状などによって漢方薬を使い分けます。

●当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)

当帰芍薬散は、「女性の宝」と呼ばれている血液の巡りを改善する当帰(トウキ)や、痛みを取ったり精神を安定させたりする芍薬(シャクヤク)など6種類の漢方生薬が配合されています。
やせ形で体力が乏しく、冷え症貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭痛、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴える症状に効果があります。


●桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)

血管の拡張により血行を促進して体をあたためる桂枝(ケイシ)や、利尿作用のある茯苓(ブクリョウ)など5種類の漢方生薬が配合されています。
比較的体力があり顔色が赤く、下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせ症で上半身がほてる一方、足腰など下半身が冷えるといった症状に効果があります。


●紫胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)

炎症を抑え、解熱・鎮痛作用のある紫胡(サイコ)や神経安定作用のある竜骨(リュウコツ)や牡蛎(ボレイ)など11種類の漢方生薬が配合されています。
精神不安があって動悸不眠などがある症状に効果があります。


●八味地黄丸(ハチミジオウガン)

体の熱を冷まし、利尿作用のある地黄(ジオウ)など8種類の漢方生薬が配合されています。
疲れやすくて、手足が冷えやすく、排尿困難頻尿などの泌尿器や生殖器を含む漢方でいう「腎」の機能低下、老化現象などの症状に効果があります。


●桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)

血液の流れが滞る、漢方でいう「お血」を取り去る作用のある桃仁(トウニン)など5種類の漢方生薬が配合されています。
肥満体で体力が充実しており、便秘傾向で下腹部が張り、頭痛やノボセ、不眠、月経不順などの症状に効果があります。


その他、更年期障害に処方される漢方薬
・温清飲
・黄連解毒湯
・加味逍遥散
・紫胡桂枝乾姜湯
・四物湯 
など


精神安定による更年期障害治療法

ホルモン補充治療法は、乳がんや子宮がん、重い肝機能障害、血栓症のある方には、副作用で症状が悪化する可能性があるため、投与できません。
ホルモン補充療法ができない方や精神的要因の多い症状の方には、自律神経調整薬や精神・神経用薬の抗不安薬や抗うつ薬が処方されます。
つまり、神経の高ぶりを鎮めるのです。
頭痛やイライラ、不安、不眠、うつ状態、手足のしびれなどの症状がある場合には効果を発揮します。
ひどい不眠がある場合には、睡眠薬を処方することもあります。

ただし、これらの代替療法は、エストロゲン補充療法を受けることができない方や精神的な症状が重い方には有効であるが、副作用の心配もあるので全ての方に適した治療法とはいえません。

エストロゲン補充による更年期障害治療法

更年期障害がおこる原因は、女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンが分泌されなくなることにあります。
ですから、通常、更年期障害の患者に対して病院が行う治療は、エストロゲンやプロゲステロンを補充することです。
これら女性ホルモンの投与によって、ある程度の更年期障害の症状は改善されます。

ただし、女性ホルモン補充療法は有効な治療法である反面、副作用も多く、不正性器出血、悪心、乳房の不快感、頭痛、気分の変化などが現れることがあります。
その他、女性ホルモンを長期間投与すると、静脈血栓症や動脈硬化の原因となり、脳梗塞、心筋梗塞が増加することがわかっています。
肝臓の機能にも影響を与え、肝機能障害がある方にも処方されません。

また、エストロゲンのみを補充する治療法は、癌のリスクを上昇させる可能性があるので、乳癌や子宮内膜癌を患ったことがある方、または患っている方には処方しません。

ですから、更年期障害の治療を病院で受けられる場合は、ご自身の症状や過去の病歴などをきちんと担当医に告げるようにしましょう。
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。