更年期障害の症状がおこる原因

更年期障害は、ホルモン分泌をコントロールしている脳にある視床下部の働きと深い関係があるわけですが、この視床下部にはホルモン中枢以外にも自律神経中枢や体温調整中枢、代謝の中枢、感情の中枢などが集まっています。
そのため、閉経期にいたる更年期にホルモンのバランスが乱れると、ホルモン中枢の調子が狂うだけでなく、自律神経をはじめいろいろな中枢に連鎖反応のように影響が現れてきます。

ですから、更年期障害として、自律神経の働きが狂って、動悸や頭痛、肩こり、のぼせなど、いわゆる自律神経失調症といった症状がおこったり、体温中枢の乱れにより常に微熱っぽい状態が続いたり、感情中枢の乱れにより不安感やいらいら、憂鬱感、不眠といった症状がでてくるのです。

男性更年期障害に処方する漢方薬

●腎機能低下に八味地黄丸

腎臓、泌尿器、生殖器など漢方でいう「腎」の機能低下、老化現に処方されます。
疲れやすく、手足が冷え、腰痛があり、しびれる、尿量減少あるいは多尿で喉が渇く、などの症状に用いられ、男女更年期障害や老人の糖尿病やインポテンツに効果があります。


●精神不安や不眠症に柴胡加竜骨牡蛎湯

炎症を抑え、解熱・鎮痛作用のある紫胡(サイコ)や神経安定作用のある竜骨(リュウコツ)や牡蛎(ボレイ)など11種類の漢方生薬が配合されています。
精神不安で、驚きやすく動悸があり、不眠症である場合に処方されます。


●精神不安からくる胸のつかえに半夏厚朴湯

嘔吐作用があり、胸のつかえを取り除く半夏(ハンゲ)やお腹の張りを取り、気分が晴れない神経症状を取り去る厚朴(コウボク)など5つの漢方生薬が配合されています。
精神不安で、喉がつかえるような異物感がある症状に処方されます。


その他男性更年期障害に処方される漢方薬
・黄連解毒湯
・補中益気湯
・芍薬甘草湯 など

男性更年期障害に男性ホルモン補充治療法

男性の更年期障害の原因も、女性の更年期障害と同様に、ホルモンバランスの変化によります。
男性ホルモンの低下は、性欲の低下だけでなく、うつ病や情緒不安定など消極的な精神状態をもたらします。
ですから、男性更年期障害の原因である男性ホルモンの分泌不足を補うために、男性ホルモンのなかで最も生理活性が強いテストステロンを補充する治療法が一般的に行われています。

2〜3週間に1回に男性ホルモン補充を行い、3回の男性ホルモン補充で効果がわかります。

男性ホルモン補充療法による副作用は、体液が溜まる浮腫(むくみ)の症状がでたり、にきびができたり、一時的に乳房が女性のように発達したりします。

更年期障害は男性にもおこる

更年期障害というと女性特有の病気のように思われますが、実は男性にも更年期障害が起こるのです。
男性の場合は、女性のような閉経による急激なホルモンの変化はありませんので、男性の更年期は見つけにくいのですが、やはり加齢と共に徐々にモルモンのバランスが変化していきます。

●男性更年期障害の特徴

男性の更年期の特徴は、心理的な原因によるストレスや社会的環境によるストレスによって起きる精神神経症状が大半を占めます。
憂鬱であったり、なかなか寝付けず不眠症であったり、全身がだるく倦怠感があったり、やる気が起こらず無気力であったり、すぐにイライラしたり、めまいや頭痛があったり、性欲の減退したり、という症状があらわれると更年期障害の可能性があります。

男性の自殺者が最も多くなるのが、更年期である50才をはさんだ前後10年間であると言われていますので、このような症状が長く続く場合は、心療内科で受診されることをお勧めします。

更年期障害予防にカルシウムを!

更年期には、ホルモンのバランスの乱れにより、カルシウムが骨から溶け出して、骨粗鬆症にかかりやすくなります。
ですから、更年期にはカルシウムを意識して積極的に摂取することが大切です。
通常成人では1日600mg以上のカルシウムを摂取することが望ましいとされていますが、更年期の時期には1日800〜1,000mg取るように努力しましょう。

●カルシウムの補給源

カルシウムを多く含む食材には以下のものがあります。
カルシウムの代表的な食材は牛乳や小魚ですが、その他あまり知られていませんが大豆や緑黄色野菜、海藻にもたくさんカルシウムが含まれています。


牛乳・乳製品に含まれるカルシウム量
・牛乳(200ml 1パック) … 200mg
・ヨーグルト(加糖大さじ6 100g) … 120mg
・プロセスチーズ(1切れ20g) … 126mg


小魚類に含まれるカルシウム量
・いわし丸干し(中2尾 30g) … 280mg
・煮干し(5〜6尾 10g) … 220mg
・しらす干し(大さじ3強 20g) … 106g
・いわし缶詰(油漬け1/2缶 55g) … 220mg
・わかさぎ(小5〜6尾 50g) … 375mg
・ししゃも(2尾 50g) … 95mg
・干しえび(10g) … 230mg
・たたみいわし(3枚 10g) … 97mg


大豆・豆製品に含まれるカルシウム量
・豆腐(木綿1/2丁 150g) … 180mg
・生揚げ(1枚 200g) … 480mg
・油揚げ(1枚 25g) … 75mg
・納豆(1パック 50g) … 45mg
・凍り豆腐(小1枚 20g) … 118mg


緑黄色野菜に含まれるカルシウム量
・小松菜(1/4わ 80g) … 232mg
・かぶの葉(2株 70g) … 162mg
・チンゲン菜(ゆで1株 80g) … 112mg
・野沢菜(小皿1盛り 30g) … 52mg
・京菜(小1株 80g) … 120mg


海藻・乾物類に含まれるカルシウム
・干しわかめ(1/4カップ 5g) … 50mg
・干しひじき(大さじ2 10g) … 140mg
・切り干し大根(1/5カップ 10g) … 47mg


●カルシウムの吸収率を高めよう

カルシウムが体に吸収されるには、ビタミンDやマグネシウムといった栄養素が必要となります。

ビタミンDは、カルシウムが小腸から吸収されるのを促進します。
卵やレバー、干ししいたけ、さけ、かれい、にしんなどの魚に多く含まれ、また日光を浴びることで体内で合成されます。

マグネシウムは、血液中のカルシウムの作用を助ける働きがあります。
ただし、カルシウムとマグネシウムはバランスが大切で、どちらか一方を取りすぎると、もう一方が減少してしまいます。
カルシウムとマグネシウムがバランス良くとれていると、神経を安定させてイライラ解消に効果があります。

更年期障害に植物エストロゲン「レッドクローバー」

レッドクローバーは、ヨーロッパでは古くからハーブティーなどの方法で健康のために用いられ、現在では更年期障害や婦人薬として、医薬品として使用されています。
レッドクローバーには、女性ホルモンであるエストロゲン様作用を持つイソフラボンを多く含んでいるので、更年期障害の治療薬として注目されています。

●レッドクローバーイソフラボンと大豆イソフラボンの違い

一般的な大豆イソフラボンは、グリコシド型と呼ばれるイソフラボンで糖がついているため、腸内細菌により糖が外されてアグリコン型のイソフラボンにならないと腸から吸収されません。
そのため、腸内環境によって吸収率が左右されてしまいます。
一方、レッドクローバーイソフラボンは、糖がないアグリコン型のイソフラボンが豊富なので、腸内細菌に関係なく直接腸から吸収されるので、吸収率が高いのです。

また、レッドクローバーには4種のイソフラボンが含まれていますが、そのうちのバイオカニンA、フォルモノネチンと呼ばれるイソフラボンは、大豆には含まれないイソフラボンです。
この2成分は選択的エストロゲン調節物質と呼ばれ、エストロゲン拮抗作用と促進作用の両方を併せ持っていますので、必要量以上は尿中へ排出されることで体内のエストロゲン量を適正に保ちます。

レッドクローバーは、イソフラボンだけでなく、ポリフェノールも多く含んでいるので、その抗酸化作用にも注目されています。


漢方による更年期障害治療法

更年期障害の症状に処方される漢方薬は、体質や症状によっていろいろあります。
のぼせや冷え症など血液の流れの異常による症状、イライラ、不眠、神経質など精神的原因による症状、高血圧に伴う頭痛、動悸、めまいの症状などによって漢方薬を使い分けます。

●当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)

当帰芍薬散は、「女性の宝」と呼ばれている血液の巡りを改善する当帰(トウキ)や、痛みを取ったり精神を安定させたりする芍薬(シャクヤク)など6種類の漢方生薬が配合されています。
やせ形で体力が乏しく、冷え症貧血の傾向があり疲労しやすく、ときに下腹部痛、頭痛、めまい、肩こり、耳鳴り、動悸などを訴える症状に効果があります。


●桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)

血管の拡張により血行を促進して体をあたためる桂枝(ケイシ)や、利尿作用のある茯苓(ブクリョウ)など5種類の漢方生薬が配合されています。
比較的体力があり顔色が赤く、下腹部痛、肩こり、頭重、めまい、のぼせ症で上半身がほてる一方、足腰など下半身が冷えるといった症状に効果があります。


●紫胡加竜骨牡蛎湯(サイコカリュウコツボレイトウ)

炎症を抑え、解熱・鎮痛作用のある紫胡(サイコ)や神経安定作用のある竜骨(リュウコツ)や牡蛎(ボレイ)など11種類の漢方生薬が配合されています。
精神不安があって動悸不眠などがある症状に効果があります。


●八味地黄丸(ハチミジオウガン)

体の熱を冷まし、利尿作用のある地黄(ジオウ)など8種類の漢方生薬が配合されています。
疲れやすくて、手足が冷えやすく、排尿困難頻尿などの泌尿器や生殖器を含む漢方でいう「腎」の機能低下、老化現象などの症状に効果があります。


●桃核承気湯(トウカクジョウキトウ)

血液の流れが滞る、漢方でいう「お血」を取り去る作用のある桃仁(トウニン)など5種類の漢方生薬が配合されています。
肥満体で体力が充実しており、便秘傾向で下腹部が張り、頭痛やノボセ、不眠、月経不順などの症状に効果があります。


その他、更年期障害に処方される漢方薬
・温清飲
・黄連解毒湯
・加味逍遥散
・紫胡桂枝乾姜湯
・四物湯 
など


更年期障害にエストロゲン様作用を持つ「大豆イソフラボン」

●大豆イソフラボンのエストロゲン作用

大豆イソフラボンは、大豆の胚芽に多く含まれる成分で、フラボノイドの一種です。
大豆イソフラボンには、女性ホルモンであるエストロゲン様の作用があり、自然界に存在する植物エストロゲンの1つとして更年期障害骨粗鬆症の予防、軽減に有効であると言われています。


●食事から取れる大豆イソフラボン量

大豆といえば、豆腐やみそ汁、納豆などの大豆食品として、食卓におなじみの食材ですが、大豆イソフラボンは、大豆全体の0.2%しか含まれておらず、その上食生活の欧米化の伴い、その摂取量は年々減少しています。

また、大豆や大豆食品に含まれる大豆イソフラボンのほとんどは、大豆イソフラボン配糖体として存在し、腸内細菌によって分解されて、糖部分が取り除かれた大豆イソフラボンアグリコンという形にならないと腸から吸収されません。
ですから、人それぞれの腸内環境の違いによって、イソフラボンの吸収性にバラツキがあります。


●大豆イソフラボン摂取量の制限

大豆イソフラボンは、自然界に存在する植物エストロゲンですが、多量の服用により副作用の懸念もあります。
そのため、1日に摂取する大豆イソフラボンアグリコンの目安量の上限を70〜75mgとされています。
日本人が、日常の食事から摂取している大豆イソフラボンアグリコンの1日量は16〜22mgとされていますので、サプリメントとして服用する場合は、より安全な1日目安量として30mgとされています。


●大豆は栄養の宝庫

大豆は「畑のお肉」と呼ばれているように、低脂肪で良質なたん白質を豊富に含んでいます。
また、食物繊維、ミネラル、ビタミンなども含まれており、日本人に不足しがちなカルシウムの供給源としても有用な食品ですので、栄養のバランスを考えるとサプリメントとして大豆イソフラボンを摂取するより、日常の食生活での摂取が理想的です。

精神安定による更年期障害治療法

ホルモン補充治療法は、乳がんや子宮がん、重い肝機能障害、血栓症のある方には、副作用で症状が悪化する可能性があるため、投与できません。
ホルモン補充療法ができない方や精神的要因の多い症状の方には、自律神経調整薬や精神・神経用薬の抗不安薬や抗うつ薬が処方されます。
つまり、神経の高ぶりを鎮めるのです。
頭痛やイライラ、不安、不眠、うつ状態、手足のしびれなどの症状がある場合には効果を発揮します。
ひどい不眠がある場合には、睡眠薬を処方することもあります。

ただし、これらの代替療法は、エストロゲン補充療法を受けることができない方や精神的な症状が重い方には有効であるが、副作用の心配もあるので全ての方に適した治療法とはいえません。

エストロゲン補充による更年期障害治療法

更年期障害がおこる原因は、女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンが分泌されなくなることにあります。
ですから、通常、更年期障害の患者に対して病院が行う治療は、エストロゲンやプロゲステロンを補充することです。
これら女性ホルモンの投与によって、ある程度の更年期障害の症状は改善されます。

ただし、女性ホルモン補充療法は有効な治療法である反面、副作用も多く、不正性器出血、悪心、乳房の不快感、頭痛、気分の変化などが現れることがあります。
その他、女性ホルモンを長期間投与すると、静脈血栓症や動脈硬化の原因となり、脳梗塞、心筋梗塞が増加することがわかっています。
肝臓の機能にも影響を与え、肝機能障害がある方にも処方されません。

また、エストロゲンのみを補充する治療法は、癌のリスクを上昇させる可能性があるので、乳癌や子宮内膜癌を患ったことがある方、または患っている方には処方しません。

ですから、更年期障害の治療を病院で受けられる場合は、ご自身の症状や過去の病歴などをきちんと担当医に告げるようにしましょう。
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